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月別アーカイブ: 2025年4月

F’環境企画のSDG’s~違い~

F’環境企画の更新担当の中西です!

 

F’環境企画のSDG’s~違い~

ということで、公共工事における残土処理の特徴と民間工事との違いについて、実務者の視点から深く解説していきます。

 

法令順守と資源循環を両立させる“行政型工事のルール”

残土処理はすべての建設工事において避けて通れない工程ですが、
公共工事における残土処理は、民間工事とは大きく異なる点が多数存在します。

それはなぜか?

公共工事では、国・都道府県・市区町村などの行政機関が発注者となるため、
法令順守・環境保全・情報公開・再資源化といった「社会的責任」に重きが置かれ、
残土ひとつ取っても、その扱いや記録方法、再利用の考え方まで厳格に定められているのです。


✅ そもそも「残土」とは?その定義と分類

残土は、工事の過程で発生する「掘削された土」を指しますが、
公共工事においてはさらに厳密な定義・区分が求められます。

◯ 国土交通省の分類(建設副産物として)

区分 内容 処理方法
建設発生土 工事で発生した未汚染の自然土・岩 再利用または適正処分
建設汚泥 ボーリング、削孔などで発生する泥状物 処理施設へ搬出(産廃)
がれき類(コンクリート、アスファルト) 構造物解体などで発生 破砕・再生材化が原則

📌 公共工事ではこれらを「建設副産物」と総称し、再資源化・トレーサビリティの徹底が求められます。


🏗 公共工事における残土処理の基本原則

✅ 1. 原則「現場内利用(再利用)」が最優先

  • 法令・ガイドラインにより、再利用可能な土は極力現場内で活用するよう指導されている

  • たとえば

    • 掘削→埋戻し材として再利用

    • 仮置き→別工区での利用

    • 良質残土→再利用用地や農地造成に転用

📌 国交省の「建設副産物実態調査」では、発生土の約80%が再利用されていると報告


✅ 2. 工事発注時点で「残土処理計画書」の提出が求められる

  • 発注段階で、施工業者は「建設副産物の処理計画書」を作成・提出

  • 内容には

    • 発生土の推定量(m³)

    • 現場内利用・再利用・処分に振り分けた比率

    • 処理・搬出先の施設名・住所・許可番号

    • 再利用時の受入先との合意文書 等

📌 民間工事では不要なこれらの書類が、公共では必須要件となります。


🚛 公共 vs 民間 ― 残土処理の運用上の違い

比較項目 公共工事 民間工事
法令遵守 建設リサイクル法、資源有効利用促進法に厳密対応 必須だが実運用にばらつきあり
再利用の義務 あり(最大限の現場内処理が求められる) 現場裁量が大きい(コスト優先も)
書類管理 副産物処理計画、実績報告書、マニフェスト 原則任意。工事規模による
処分場との契約 発注者承認の正式契約が必要 価格と納期優先で選定されることも多い
トレーサビリティ 処理履歴の提出・保管義務あり 実施されないケースもあり

📌 公共工事では搬出先や処分場が行政に提出する記録書類の正確性まで問われるため、管理が非常に厳格です。


📈 現場実務で求められる“残土処理の工夫”

✅ 効率的な処理を行うために重要なポイント

  1. 発生土の土質を事前に分析(粒度・含水率)

  2. 良質土の再利用場所を近隣の公共工事・公園整備・農地造成とマッチング

  3. 再利用用土の仮置き場を事前確保

  4. 余剰残土の搬出先を許可業者+行政認可施設に限定

📌 地方自治体によっては、「良質残土受け入れリスト」が公開されており、土を“捨てる”から“活かす”への取り組みが進んでいます。


🧾公共工事における残土処理の帳票類・記録義務

書類名 目的
建設副産物処理計画書 発注者へ提出。事前見積・処理方法の明示
副産物処理実績報告書 完了後に処理内容を報告
マニフェスト(産廃処理時) 処理の追跡と適正処分の証明
処分場との契約書/許可証 適正業者の利用証明
トラック運行記録 搬出先・日時・車両情報の記録管理用

📌 一部の自治体では、デジタルマニフェスト(JWNET)の導入も義務付けられています。


✅ 公共工事における残土処理は「環境・法令・地域」の三位一体管理

公共工事の残土処理では、単に「運んで捨てる」ではなく、
“出さない・再利用する・正しく記録する”という考え方が根本にあります。

これは、「税金を使った事業」としての責任、
そして「環境と社会の持続可能性」に直結するからこそ、
民間工事とは一線を画す慎重な対応が求められているのです。


📋 公共工事残土処理のポイント再整理

項目 内容
法的背景 建設リサイクル法、国交省通達、自治体条例
優先順位 現場内利用 > 再利用 > 適正処分
事前準備 処理計画書、受入先との契約、仮置き場の確保
書類管理 副産物処理計画、報告書、マニフェスト
遵守すべき原則 トレーサビリティ、法令順守、地元連携

 

F’環境企画のSDG’s~確認事項~

F’環境企画の更新担当の中西です!

 

F’環境企画のSDG’s~確認事項~

ということで、残土処理業において現場作業の前に必ず押さえるべき事前確認事項を、5つの視点から深く解説します

 

不法投棄・トラブル・コスト増を防ぐための“準備のすべて”

建設や造成工事で避けて通れないのが「残土の処理」です。
残土とは、掘削・基礎工事・解体などで発生する
「土」や「石」「コンクリートがら」などの排出物を指し、適切な処理が法的にも社会的にも求められます。

しかし、現場では「急に土が出すぎた」「処分場に断られた」「運搬車両が足りない」といったトラブルが頻発。

こうした事態を防ぐカギはバッターミスを防ぐ“事前確認”にあります。


1. 📌【法的区分と種類】処理する土は“何に分類されるのか”を正確に判断

✅ 残土の分類(代表的3区分)

区分 内容 処理方法
建設発生土 建設・造成で発生した自然由来の土(汚染なし) 埋戻し・再利用・有料処分
産業廃棄物(土以外含む) がれき類、混合物、汚泥・アスファルト・コンクリート等 産廃処理業者に委託
特別管理廃棄物 汚染土壌・油混じり土など 特別管理産業廃棄物許可業者のみ対応可

📌 建設残土(自然土)であっても混入物があると産廃扱いになるため、発生源での分別確認が最重要です。


2. 🚛【搬出計画と車両手配】運ぶ前に“量・方法・ルート”を確定する

✅ 事前に確認すべき搬出条件

  • 発生予定量の正確な把握(m³単位)

  • 粘性土・砂質土・ガラ混じりなど土質の確認

  • 仮置き場の有無・保管スペース

  • 出入口の寸法・傾斜 → 使用可能なダンプサイズの決定

  • 搬出時間帯(夜間不可・騒音規制ありの地域など)

📌 残土は“想定より増える”のが常。+10〜30%の余裕をもった搬出計画が必要です。


3. 🏞【処分場・受入先の選定と契約】“捨て先”が決まらないと搬出できない!

✅ 処理場に確認すべき内容

  • 受入可能な土質・異物混入の基準

  • 一日あたりの受入量制限

  • 搬入時の受付時間/予約の有無

  • 処分単価(1m³あたり)と支払い条件

  • マニフェスト発行の要否(産業廃棄物の場合)

📌 土砂の受け入れ拒否や荷戻しを防ぐために、必ず事前に“処分場と合意済みの契約”を締結しましょう。


4. 🛠【現場での分別・計量・積込み条件】搬出作業を円滑に進めるために

✅ 分別状況の確認

  • ガラ混じり・木くず・アスファルト片などの除去が必要か?

  • 搬出前のふるい・破砕処理の要否

  • 水分量・ぬかるみ状態による車両積載制限の検討

✅ 積込み作業の環境整備

  • バックホウ・ホイルローダーの有無

  • 雨天対策(ブルーシート、仮設排水)

  • 作業動線の安全確保(誘導員、標識)

📌 重機がなく“人力で積む”現場では、作業員の安全と負荷が大きくなるため、あらかじめ作業方法を共有しておくことが大切です。


5. 🧾【書類・法令対応・行政申請】コンプライアンスは“事前確認”がすべて

✅ 必要な許可・届出・記録類(例)

書類名・届出 必要な場面
産業廃棄物管理票(マニフェスト) 混合残土・汚泥・ガラ等を処理する場合
処分場の契約書・許可証写し 輸送業者・発注者・元請への提出用
土壌汚染調査報告書 再開発・工場跡地などの案件
建設副産物報告書 公共工事・大規模民間案件の場合あり

📌 “口頭契約だけで搬出”はトラブルの元。行政指導や罰則のリスクもあるため、すべての業務に書面での根拠を。


✅ 残土処理は「掘ってから」ではなく「掘る前」にすべてが決まる

残土処理は、計画・分別・搬出・処分・記録という一連の流れを“最初に逆算しておくこと”が成功の鍵です。

「土が出てから考える」ではなく、「出る前に準備する」。
これがプロの現場対応力と言えるでしょう。


📋 事前確認チェックリスト(残土処理業者・現場監督向け)

カテゴリ チェック項目
土質分類 自然土/産廃/汚染土の区別
発生量 m³/t数の見積りと増量対策
車両搬出 ダンプサイズ・ルート・時間制限
処分先 契約有無・受入条件・単価
分別・処理 ガラ・異物の混入状況/ふるい有無
書類対応 マニフェスト・契約書・許可証の確認