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F’環境企画の更新担当の中西です!
F’環境企画のSDG’s~違い~
ということで、公共工事における残土処理の特徴と民間工事との違いについて、実務者の視点から深く解説していきます。
法令順守と資源循環を両立させる“行政型工事のルール”
残土処理はすべての建設工事において避けて通れない工程ですが、
公共工事における残土処理は、民間工事とは大きく異なる点が多数存在します。
それはなぜか?
公共工事では、国・都道府県・市区町村などの行政機関が発注者となるため、
法令順守・環境保全・情報公開・再資源化といった「社会的責任」に重きが置かれ、
残土ひとつ取っても、その扱いや記録方法、再利用の考え方まで厳格に定められているのです。
目次
残土は、工事の過程で発生する「掘削された土」を指しますが、
公共工事においてはさらに厳密な定義・区分が求められます。
区分 | 内容 | 処理方法 |
---|---|---|
建設発生土 | 工事で発生した未汚染の自然土・岩 | 再利用または適正処分 |
建設汚泥 | ボーリング、削孔などで発生する泥状物 | 処理施設へ搬出(産廃) |
がれき類(コンクリート、アスファルト) | 構造物解体などで発生 | 破砕・再生材化が原則 |
📌 公共工事ではこれらを「建設副産物」と総称し、再資源化・トレーサビリティの徹底が求められます。
法令・ガイドラインにより、再利用可能な土は極力現場内で活用するよう指導されている
たとえば
掘削→埋戻し材として再利用
仮置き→別工区での利用
良質残土→再利用用地や農地造成に転用
📌 国交省の「建設副産物実態調査」では、発生土の約80%が再利用されていると報告
発注段階で、施工業者は「建設副産物の処理計画書」を作成・提出
内容には
発生土の推定量(m³)
現場内利用・再利用・処分に振り分けた比率
処理・搬出先の施設名・住所・許可番号
再利用時の受入先との合意文書 等
📌 民間工事では不要なこれらの書類が、公共では必須要件となります。
比較項目 | 公共工事 | 民間工事 |
---|---|---|
法令遵守 | 建設リサイクル法、資源有効利用促進法に厳密対応 | 必須だが実運用にばらつきあり |
再利用の義務 | あり(最大限の現場内処理が求められる) | 現場裁量が大きい(コスト優先も) |
書類管理 | 副産物処理計画、実績報告書、マニフェスト | 原則任意。工事規模による |
処分場との契約 | 発注者承認の正式契約が必要 | 価格と納期優先で選定されることも多い |
トレーサビリティ | 処理履歴の提出・保管義務あり | 実施されないケースもあり |
📌 公共工事では搬出先や処分場が行政に提出する記録書類の正確性まで問われるため、管理が非常に厳格です。
発生土の土質を事前に分析(粒度・含水率)
良質土の再利用場所を近隣の公共工事・公園整備・農地造成とマッチング
再利用用土の仮置き場を事前確保
余剰残土の搬出先を許可業者+行政認可施設に限定
📌 地方自治体によっては、「良質残土受け入れリスト」が公開されており、土を“捨てる”から“活かす”への取り組みが進んでいます。
書類名 | 目的 |
---|---|
建設副産物処理計画書 | 発注者へ提出。事前見積・処理方法の明示 |
副産物処理実績報告書 | 完了後に処理内容を報告 |
マニフェスト(産廃処理時) | 処理の追跡と適正処分の証明 |
処分場との契約書/許可証 | 適正業者の利用証明 |
トラック運行記録 | 搬出先・日時・車両情報の記録管理用 |
📌 一部の自治体では、デジタルマニフェスト(JWNET)の導入も義務付けられています。
公共工事の残土処理では、単に「運んで捨てる」ではなく、
“出さない・再利用する・正しく記録する”という考え方が根本にあります。
これは、「税金を使った事業」としての責任、
そして「環境と社会の持続可能性」に直結するからこそ、
民間工事とは一線を画す慎重な対応が求められているのです。
項目 | 内容 |
---|---|
法的背景 | 建設リサイクル法、国交省通達、自治体条例 |
優先順位 | 現場内利用 > 再利用 > 適正処分 |
事前準備 | 処理計画書、受入先との契約、仮置き場の確保 |
書類管理 | 副産物処理計画、報告書、マニフェスト |
遵守すべき原則 | トレーサビリティ、法令順守、地元連携 |